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PMBOK 其の九:法が価値実現システムを統治する? ガバナンス・システムとは

【戦国PM講座】
~ まんがで学ぶ PMBOK プロジェクトマネジメント標準 ~

戦国WEBディレクション講座

ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。前回学んだ価値実現システムを機能させる「情報の流れ」と同時に、組織が自律的に動くための原理が別にあるという。事業レベルのフレームワークともいえる、その存在とは…

登場人物紹介

~ プロジェクトマネジメント標準 2.2 組織のガバナンス・システム ~

初回の接見に丸腰で挑むとは愚かなり!

ディレクターつや姫のワンポイントアドバイス

今日も殿を怒らせてしまいましたね。。。

PMBOKにおいて「ガバナンス・システム」は、価値実現システムを支えるものとして説明されています。

もともと、ガバナンス(governance)には下記のような意味があります。
1.(国家の)統治(法).
2.(企業・組織などの)運営(方式),管理.
(WISDOM 英和辞典)
そして、PMBOKの用語集では下記のように定義されています。


確立済みのポリシー、実務慣行、その他の関連する文書を通じて、組織の方向性を決定し実現するための枠組み。
(P236 用語集 3. 定義)

では、ガバナンス・システムとは何でしょうか?


ガバナンス・システムは、価値実現システムと連動して、円滑なワークフローを可能にし、課題をマネジメントし、意思決定を支援する。

ガバナンス・システムは、活動の指針となる機能やプロセスを備えたフレームワークを提供する。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】2 価値実現システム / 2.2 組織のガバナンス・システム)

組織(価値実現システム)の中で、業務プロセスや権限範囲を明確にして、各プロジェクトの自律的・効率的な働きを支援すると同時に、それを実現する枠組みを提供してくれるもの、ということですね。

「活動の指針となる機能やプロセスを備えたフレームワーク」(=枠組み)とは具体的にどんなものなのでしょうか。PMBOKでは次のような項目が挙げられています。

1)監理、コントロール
2)価値評価
3)構成要素間の統合
4)意思決定能力

順番に見ていきましょう。

1)監理、コントロール
事業が適切な方向に進むよう、目標を再確認し、進行状況を確認する枠組みです。具体的には定例会議や1on1ミーティングなどでの進捗共有も、これに該当する役割を果たすでしょう。

2)価値評価
何が「正解」かを示し、それに沿った働きを評価する枠組みです。企業ならミッションやバリューを提示することや、業務プロセスを明文化すること。さらに、その通りに仕事ができているかどうか評価する仕組みなどがこれに該当します。

3)構成要素間の統合
価値実現システム構成要素間において、変更・課題・リスクを評価するための枠組みです。レイヤー間の会議・報告書・業務システムなどがこれに該当します。前回の「情報の流れ」で見たように、組織の上から下へ・下から上へと情報は流れていくわけですが、これを分断なく統合することが目的です。

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4)意思決定能力
各構成要素が持つ権限を明確化することです。チームができるだけ自律的・効率的に業務を遂行できるよう、リーダー/メンバーが意思決定可能な範囲、および上位の承認が必要な範囲をあらかじめ明確にしておくことが求められます。

こうしたフレームワークが、価値実現システムを支えているというわけです。

最初の話に戻りますと、今回はクライアント企業の社長交代によってマネジメント方針に変更があり、「3」構成要素間の統合」でその方針が伝達され、各プロジェクトに反映された、と考えられます。フレームワークがわかっていれば当然の話ではありますね。

もしフレームワークがなかったら、毎回イチから考えなくてはならないことが多く、漠然とした悩みが多くなってしまいます。新之助さん、以前にもそんなことがありましたよね。

其の十四:提案の究極奥義「これをおさえりゃダイジョウブ」

プロジェクトの円滑な運営のためにも、こうしたフレームワークをうまく活用していきたいですね。

教訓:丸腰で臨むは負けフラグ!

(^^♪ 次回:私の知ってるPMBOKと違う?! 第7版の意義とは?


【出典・参考文献】
プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
Project Management Institute.
一般社団法人 PMI 日本支部


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関根 聖二
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