優秀すぎて扱いづらい部下のうまい活用法:上司の悩み解決法② (DX#79)
前回の記事では優秀な部下の特徴、メリット、デメリット、それに対して上司が対処できる選択肢をあげました。
前回の記事で、「優秀な部下に対して上司が対処できる選択肢」を2点あげました。
・優秀な部下を活用してチームの成績を上げる
・他にも優秀な部下を育てる
これができれば優秀な部下が、扱いにくい異物や嫉妬の対象ではなく、上司にとってありがたい存在となります。
ただし「優秀な部下のデメリット」でもあげたように、現実的には優秀な部下には負の側面もあります。
上司がすべきことは、これら優秀な部下の「負の側面」を出させずに、「正の側面」を自分のチームで最大限に活用することです。
それができれば、優秀な部下を持ったあなたは、優秀なリーダーとしての評価を得られるでしょう。
【 目次 】
- 「メンタル」と「ロジック」のバランスを意識する
- 優秀な部下に対するメンタル対応:早いうちに認めて役割分担する
- 優秀な部下を活用してチームの成績を上げるロジカル対応
- 優秀な部下と DX のフル活用で優秀なリーダーとして認められる
- 優秀な部下と DX の活用方法
- データを活用して課題をクリアする
- まとめ
「メンタル」と「ロジック」のバランスを意識する
優秀な部下をうまく扱うことができる上司は、彼ら彼女らのデメリットを払拭し、様々なメリットを有効活用できます。それができれば、優秀な部下はあなたのビジネスライフの成功に貢献してくれるでしょう。
しかし、メリットもデメリットもある優秀な部下を、うまく扱うにはコツがあります。
ここでは以下2つに分けて解説したいと思います。
・メンタル面の対応
・ロジカル面の対応
多くの上司が実感していると思いますが、部下に対処するにはメンタル面だけでもダメですし、ロジカルな対応だけでもうまく機能しません。
その両方をバランスよく扱う必要があります。
特に、優秀な部下とうまくやっていくには、「メンタル面の配慮」がかかせません。
そして、優秀な部下の特性をうまく活用してチームに活かすには、「ロジカルな分析」が重要です。
まずは優秀すぎる部下とぶつからずに、そして自分のプライドを傷つけられずにうまくやっていくためのメンタル面の対応からお話したいと思います。
優秀な部下に対するメンタル対応:早いうちに認めて役割分担する
優秀な部下とぶつからない最もシンプルなコツは、役割分担です。
まずは優秀な部下の中で、自分より秀でている部分を客観的に分析します。そして、「君は〇〇の能力が高いから、是非任せたい。その部分で活躍してほしい。」と、きちんと認めていることを伝えます。
そして周囲のメンバーにもそれを伝えます。
つまりチーム内で、リーダーである自分が関与する部分、自分の権限、部下が決定できる範囲を明確にするのです。
・ここは私も関与していくよ
・ここは得意な君に任せるね
・ここを判断する時は相談してね
という合意をとっておきましょう。
優秀な部下はコントロールされることを嫌います。
役割分担と権限をはっきりさせ、部下が与えられた領域で自由に動ける状況を提供してあげることで、さらにチームに貢献してくれるでしょう。
また、優秀な部下を上下関係で見るとややこしいことになります。
それが始まると、立場は上司が上、実力は部下が上(?)など、複雑な関係になってしまいかねません。
ここはフラットな視点で、パートナーとしてチームが最大限のパフォーマンスをあげられるように役割分担しましょう。
自分より得意な人がその部分をやってくれるのであれば、チームにとって良いことは間違いありません。
周囲のメンバーにも「〇〇さん(優秀な部下)はこの部分で高い能力を持っているので、任せることにした。私はここをやる。」ということを伝えましょう。そうすることで、優秀な部下も、自分が上司からも周囲からも認められた存在であることを認識することができます。
ここで、他のメンバーと優秀な部下のバランスを気にされる方もいらっしゃいます。「いくら優秀だからって、そこまで特別扱いするのは不平等なんじゃないか?」という意見もあるでしょう。しかし、メンバーは全て平等に扱う必要はありません。ビジネスの場面では、優秀な部下は特別扱いして問題ないのです。
このようなお膳立てをすれば、優秀な部下と上司の無駄なライバル関係は発生せず、チームの雰囲気も良くなり、パフォーマンスも向上します。
優秀な部下を活用してチームの成績を上げるロジカル対応
「ロジカル対応」の話に入る前に、優秀な部下を活用してチームや上司に貢献してもらうために重要な点について、改めてご説明します。
①優秀な部下を活用してチームの成績を上げる
優秀な部下がチームの成績に貢献してくれることは言うまでもありません。
ただし、その部下が抜けた時にチームの成績がガタ落ちしてしまうのでは、リーダーとしてのあなたの能力を問われかねません。
優秀な部下が抜けても大きな影響がないよう、周囲の部下を成長させておくことが重要です。
②他にも優秀な部下を育てる
前回の記事でもお話したように、優秀な部下が一人であれば、その部下が賞賛されるでしょう。
しかし優秀な部下を複数人持つ上司は、人材育成に優れた上司として賞賛されるのです。
すでに優秀な部下を一名持つ上司は、もう一名の優秀な部下を作ることが重要です。
上記ピンクの文字で示した2点について、ロジカルな対応で課題を解決します。
・優秀な部下が抜けても大きな影響がないよう、周囲の部下を成長させておく
・すでに優秀な部下を一名持つ上司は、もう一名の優秀な部下を作る
優秀な部下と DX をフル活用で優秀なリーダーとして認められる
上記でお話した「①優秀な部下を活用してチームの成績を上げる」と「②他にも優秀な部下を育てる」を実現させるには、以下の課題をクリアする必要があります。
・優秀な部下が抜けても大きな影響がないよう、周囲の部下を成長させておく
・すでに優秀な部下を一名持つ上司は、もう一名の優秀な部下を作る
これらはともに「人材育成」を必要とします。
しかし、「人材育成なんてそう簡単なもんじゃないよ」と思われるかもしれません。
ここで活用できるのが、「 DX 」と、すでにあなたのチームにいる「優秀な部下」なのです。
すでに「優秀な部下」がいるあなたでれば、あとは DX さえ活用できればとても有利なポジションに立てるのです。
優秀な部下と DX の活用方法
ここからは具体的に、「優秀な部下」と「 DX 」をいかに活用するかをご説明します。
DX を導入してチームメンバーの行動をデータ化し、可視化することができれば、優秀な部下とそうでない部下の行動が比較しやすい形で可視化されます。
優秀な部下とそうでない部下のプロジェクトでの活動を比較してみると、いくつか特徴が見えてくるでしょう。
例えば弊社の事例だと、上の図のような稼働状況を比較して、以下のような特徴が見えたことがあります。
優秀 な 部下:プロジェクト序盤での活動が活発
優秀でない部下:納品間際の活動が急に活発化する
さらに業務内容の詳細を掘り下げてみると、優秀な部下は顧客との打ち合わせの前に、該当プロジェクトのドキュメント作成に時間を使っていることがわかりました。
DX を活用すれば、ここまではデータのみで確認することができます。しかしこれをさらに掘り下げれば、より重要な情報が見えてくるかもしれません。
さらに詳細な行動を掘り下げるには、日ごろの部下の様子を見るという方法もありますし、1on1ミーティングなどで各メンバーのプロジェクトの進捗を定期的にヒアリングしておくという方法もあります。
今回の例からも、DX により可視化されたデータとヒアリングにより、優秀な部下とそうでない部下の特徴が、業務プロセスの中でいくつか浮かび上がってきました。
その中の一点をあげると、「優秀な部下が、プロジェクトの初期段階で、なぜヒアリング前のドキュメント作成に、他の部下よりも時間を使っていたか?」という疑問です。
その回答は「要件をできるだけ明確にするため」でした。
優秀な部下は、より効率的に要件を固めるために、顧客との打ち合わせ前にドラフトとなるドキュメントを作りこんでいることがわかりました。
逆に優秀でない部下は、プロジェクトの序盤でしっかりと要件を固めていないため、納品前に要件を満たしていないことが発覚し、突発的な追加作業が発生していることがわかりました。
優秀な部下は、要件をしっかりと固めてプロジェクトを進めることが効率化につながることを理解し、ドキュメントの作成に他のメンバーよりも時間をかけていたのです。
データを活用して課題をクリアする
このように DX 化によりプロジェクトメンバーの行動をデータ化し、可視化することで、分析の専門家でなくても、優秀な部下とそうでない部下の行動の違いを掘り下げることができます。
そして優秀な部下の行動特性の中で、プロジェクトの生産性向上に優位に働いている部分を、他の部下にも適用することで、チーム全体の成果が向上します。
これを継続すれば、たとえ優秀な部下が去ってしまっても、その分を他の数人で取り戻せる可能性があります。
これにより、「①優秀な部下を活用してチームの成績を上げる」の、優秀な部下が去ったときのリスクに対応できるのです。
また分析結果をもとに、二番目に優秀な部下に上司のリソースを注いで重点的に指導すれば、もう一人の優秀な部下を育成できる可能性が高まります。
これにより、「②他にも優秀な部下を育てる」ことに対応できます。
チームに優秀な部下がいるということは、 DX 化により有効なデータを取得できるチャンスに恵まれているということになります。
是非チームメンバーの行動を分析し、最終的には上司自身の評価アップにつながるよう、人材育成に活用していただきたいと思います。
まとめ
2回にわたり「優秀な部下」への対応方法についてお話してきましたが、DX が活用されるようになった昨今では、優秀な部下がいるということは、 「良いデータ」をとれるチャンスと考えられます。
「優秀な部下」のメリットの部分を最大限に活用し、チーム内の他のメンバーの育成と、チームの成果向上に役立てましょう。それが最終的には上司であるあなたへの評価向上に結び付くのですから、ありがたいことです。
スパイスワークスでは、自社で開発した DXプラットフォーム「Playth(プレイス)」のワークログアプリを活用し、日々の行動をデータ化、可視化することでチームの成果向上と人材育成に活かしています。
もしご興味があれば、お気軽にお問合せください。